吐き気・嘔吐

吐き気・嘔吐とは

吐き気・嘔吐とは嘔吐とは、胃の中にある食べたものが口から出てしまう状態です。吐き気とは、嘔吐しそうな不快な感覚を指します。一般的に吐き気を生じたあとに嘔吐を起こします。何らかの疾患の影響により、脳内の嘔吐中枢が刺激されると、吐き気や嘔吐を引き起こします。下記に示すように様々な疾患で生じます。

吐き気・嘔吐を引き起こす疾患

食道アカラシア

下部食道括約筋がうまく緩まないために食物が胃に入らず、食道内に停滞してしまう機能的疾患です。食道括約筋を緩めたり閉じたりする迷走神経に何らかの異常があることが指摘されています。精神的ストレスや冷水などで増悪します。食後の胸のつかえ感や胸焼け、重症化すると吐き気や嘔吐を伴います。拡張した食道に停滞した飲食物が逆流することで咳や誤嚥性肺炎を起こしたりすることもあります。治療には薬物や内視鏡的バルーン拡張術、外科手術がありますが、最近はPOEM(経口内視鏡的筋層切開術)が標準治療となっています。食道アカラシアは、食道がんの発症リスクが高まることが分かっており、注意が必要です。

食道がん

がんで食物が通りにくくなり、飲食時に胸や喉のつかえ感、違和感などを覚えるようになります。食事量の減少による体重減少やがんの進行による背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状が現れることもあります。


胃がん

吐き気・嘔吐の他に食欲不振や胸焼け、腹痛、胃もたれ、吐血、黒色便などの症状があります。


大腸がん

盲腸や上行結腸など右側の大腸がんは症状が出にくいといわれています。一方、S状結腸や直腸など左側の大腸にがんが生じると便秘や下痢、血便がみられます。がんが進行して大腸が閉塞してしまうと腸閉塞となり、腹痛や吐き気・嘔吐などの症状が現れることもあります。


クローン病

腹痛、下痢、血便、食欲不振などの症状がみられます。小腸や大腸での栄養吸収能力が低下するため、低栄養による体重減少を引き起こしたり、発熱、貧血、だるさといった全身症状が見られたりすることもあります。さらに腸閉塞になると、便秘や吐き気、嘔吐もみられます。


感染性胃腸炎(病原性大腸菌、カンピロバクター、ノロウイルスなど)

いわゆる食中毒です。吐き気・嘔吐の他、下痢、血便、腹痛、発熱などがみられます。

急性虫垂炎

腸管の一部である虫垂に炎症が起こる病気で、盲腸とも呼ばれています。最初は食欲不振や吐き気、みぞおちの痛みなどが多く、次第に痛みの場所が右下腹部へ移動し、腹膜炎の状態になると高熱を伴うことがあります。

腸閉塞

お腹の手術による癒着や大腸がんなどが原因で腸がふさがってしまい、便やガスが肛門へ移動できずに詰まってしまった状態です。吐気や嘔吐の他、お腹の張り、便秘、腹痛などがみられます。

神経性食欲不振症(拒食症)

肥満に対する恐怖等から食べることを避け、食べたものを吐く行動がみられる精神疾患で、下剤を使用していることもあります。思春期の女性に多い傾向にあり、重症化すると命にかかわります。精神科との連携が必要です。

脳出血、脳腫瘍

脳に出血や腫瘍を生じると、頭蓋内圧が亢進し、嘔吐中枢のある脳幹部が圧迫され吐き気や嘔吐を生じます。他の症状として麻痺や頭痛などの神経症状がみられます。画像による的確な診断と脳神経外科との連携が必要です。

片頭痛

片側の拍動性頭痛が特徴ですが、吐き気も生じます。女性ホルモンとの関係から20~40代の女性に多いといわれています。

糖尿病ケトアシドーシス

糖尿病ケトアシドーシスは急激な高血糖により、喉の乾き、多尿、全身の倦怠感などに続いて、呼吸困難や吐き気、嘔吐、腹痛、意識障害などが起こります。適切な処置が遅れると死に至ることもある危険な状態です。

メニエール

内耳の内リンパ液の量が増えると内耳を圧迫し、めまい発作を引き起こすといわれています。主な症状は、耳鳴りや片耳の難聴、吐き気、めまいです。耳鼻科との連携が必要です。

薬の副作用

ジキタリス製剤や抗がん剤、オピオイド薬、テオフィリン薬、造血薬などの薬の副作用により、吐き気や嘔吐を生じる場合があります。

狭心症、心筋梗塞

狭心症や心筋梗塞などの血管系の病気では突発的に締め付けられるような強い痛みがおこります。胸焼けや冷や汗、吐き気や嘔吐を伴うこともあり、痛みは左肩、左腕、顎、歯、背中など広い範囲に響くように放散します。

吐き気・嘔吐の検査

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